2022年楽曲10選
こんばんは、まりんです。
今年もあっという間に終わりが近づいていますね。
私はCOVID-19に罹患し、この1週間ひたすら家で仕事・研究・睡眠・インターネットのいずれかを繰り返す生活になっています。現在は昨日の『ぼっち・ざ・ろっく』最終話の余韻を書きしめながら、この記事を書いています。
さて、年の瀬といえば楽曲10選記事。昨年は選曲だけして記事は書かなかったのですが、今年はせっかくなので記事も書きたいと思います。
2020年からはSpotifyでプレイリストも作っていて、今年はあくまで選曲を先にしたうえではありますが、プレイリストとして順番に聴いて行くと意味があるような形にしています。
それでは、どうぞ。
- 1. はじまりのセツナ - 蠟梅学園中等部1年3組
- 2. 星座になれたら - 結束バンド
- 3. ハルシオン - nuance
- 4. ペトリコール - tipToe.
- 5. 微熱煙 - 長瀬有花
- 6. 出町柳パラレルユニバース - ASIAN KUNG-FU GENERATION
- 7. スポットライト・ミラーランド - 望月杏奈 (CV: 夏川椎菜)
- 8. はじまりの鐘が鳴り響く空 - AiRBLUE
- 9. フィルムリールを回して - airattic
- 10. CHAINSAW BLOOD - Vaundy
- おわりに
1. はじまりのセツナ - 蠟梅学園中等部1年3組
作詞・作曲・編曲:杉山勝彦
TVアニメ『明日ちゃんのセーラー服』OPテーマ。1年の頭からとんでもないアニソンが出てきてしまったという衝撃、この曲の10選入りは初めて聴いたときから揺るぎなかったです。まさに明日小路とクラスメイトの過ごしている青春を切り取ったかのような歌詞、アコギとピアノ伴奏のみによる軽快な歌い出し、特にAメロやサビで多用されるシンコペーションによってもたらされる心地よい疾走感。
この曲の歌詞は主体が明日小路とも取れるし、明日小路と過ごしているクラスメイトの誰かとも取れる点も素晴らしく、以下のアニメのOP映像 (0:48)においても明日ちゃんと手を取っている相手が誰だかわからないような表現になっているところが本当に大好きです。
また、Dメロでは多用していたシンコペーションが急に止まり、1拍ずつきっちり刻むようなリズムに変わるのですが、個人的にはこれが「高台」へと一歩ずつ登っていき、そこから見える風景を思い起こさせて、美しい緩急の付け方だと感じています。
高台からの風景が
オレンジの宝石箱みたい
それでもお腹は空いてきて
可笑しくてひとりで吹き出した
Ah もう君に話したくなったよ
個人的な話をすると、このアニメが放映されてた1月から3月は仕事で本当に大変な案件を抱えていて、人生でほぼ初めて研究や仕事でメンタルに不調をきたしたのですが、このアニメはその頃間違いなく心の支えの一つになっていました。このアニメ、このOPを見ることが毎週のモチベーションになっていたこともあり、思い入れも強いです。
2. 星座になれたら - 結束バンド
作詞:樋口愛 作曲:内藤英雅 編曲:三井律郎
先述したTVアニメ『ぼっち・ざ・ろっく』最終話の挿入歌。もともとこの枠には、ED2『カラカラ』が入っていたのですが、流石にこの楽曲を聴いた瞬間に入れ替えてしまいました。
まず、高校生バンドが奏でるとは到底信じられない鬼のようにグルーヴィーなイントロ。超絶キャッチーなギターリフの裏でイキり散らかしてるスラップベース。マジでテレビからこのイントロが流れた瞬間絶叫してました。
そして歌詞、後藤ひとりのあふれる結束バンドへの思いが「星座」に込められていて、ここまでアニメを見てきてるとめちゃくちゃ心を震わされます。
君と集まって星座になれたら
彗星みたい 流れるひとりごと
消えていく 残像は
真夜中のプリズム
↑天才?
この曲と、文化祭で演ったもう片方の曲である『忘れてやらない』は、歌詞の観点でも楽曲の観点でも「文化祭で演ること」を意識して作られている気がします。後藤ひとりにとって最初は怖かった場所である「ライブハウス」で演る楽曲は、どうしても歌詞もトガらせる必要があったのに対して、「文化祭」で演る楽曲は彼女なりに伝わりやすく書いたのではないか、という気がします。これは、意図せずギターボーカルである喜多郁代に対する伝わりやすさにも直結しており、恐らく文化祭でのステージは、喜多郁代にとっても詞・歌を心を込めて届けられる、そんなステージになったのではないでしょうか。急なアクシデントに対してもお互い(+泥酔女の残骸)でカバーし合って、見事な「後藤ひとりと喜多郁代の文化祭ステージ」になっていたように思います。
さらに完全な余談ですが、私がたまたま文化祭でこのステージを見ていたら、確実に結束バンドのライブがあるたびにこっそり下北沢のライブハウスに通い、できるだけ彼女たちに気づかれないような場所で毎回彼女たちのステージを見ては、心の中で「この子たちは売れる…」と古参ぶるバケモノになっていたと思います。このステージでおとなしくペンライト振るの、不可能だろ…。
3. ハルシオン - nuance
作詞・作曲:オレノグラフィティ 編曲:佐藤嘉風
横浜発のアイドル『nuance』のミニアルバム『i-k-i 「a」』収録曲。ハルシオンとは睡眠薬の一種で、不眠症の一夜を歌った楽曲です。Aメロもほぼサビのように扱われている美しい旋律で、実質二重サビとなっているのが特徴的。ラスサビでこのAメロとサビをオーバーラップさせてるのがとても心地よい。眠れない状況をこのような歌詞に落とし込めるのはすごいですし、その中でも「眠りたい」と連呼するインパクトも癖になります。
明けない夜のハルシオン
ポケットの中で燻って
言い訳ばかり飲み込んで 羊数え
眠らない夢とメトロポリス
緩やかな毒に侵されて
ブリキの街の面影も とうに消えた
nuanceは僕が2018年頃までアイドルオタクをやっていた時に何度か見ており、そこからメンバーの脱退と加入と脱退を経て、現在は4人体制となっています。後述するtipToe.にハマった影響によって、8月に約4年ぶりにnuanceを生で見たのですが、その時(当時は5人体制)に最も衝撃を受けたのがこの楽曲でした。音源も全然追っていなくてこの楽曲はその時初めて聴いたのですが、特に先述のオーバーラップ部分がライブでも綺麗にキマっていたのもあり、5人に増えたことによるパワーを最も感じました。残念ながら先日1人脱退してしまったのですが、なんとか頑張ってほしいです。
4. ペトリコール - tipToe.
作詞・作曲・編曲:彼方あおい
「みんなで青春しませんか?」をコンセプトに掲げるアイドルグループ『tipToe.』のLimited Single『fifthRuler.』収録曲。このシングル(5曲・24分収録なのでEPと言った方が正しいかもしれない)は「雨」をコンセプトとして、すれ違いや孤独、そしてそこから一歩踏み出していくような、「青春」の中でも影の部分に強く焦点を当てています。その中でもこの『ペトリコール』は雨の降る学校の屋上を舞台として展開される二人の少女のすれ違いを、7分の長尺に渡って表現しています。歌割も「2人の物語」を強く意識しており、2ABが以下のようにセリフの掛け合いになっているところや、サビ以外はメンバー6人のうち2人ずつにスポットを当てるように割り振られているところが特徴的です。
「どうして君が泣いてるの?」
「私は泣きたくて泣けずにいるのに」
「わからない」
僕がそう言うと、
君は困ったように笑って、遠くを見た
「雨の日なら、泣けるような気がして」
「いつも屋上にいるの」
僕は君に会いたくて、ドアを開ける
この楽曲を含む『fifthRuler.』収録の5曲は、すべて11/30に行われた2nd CONCEPT ONEMAN『blue moon rising,my shoes are wet.』にて初披露されました。
このライブは名前の通り極めてコンセプチュアルで、特に1期(現在の活動体制は2期です)の「夜」をコンセプトとしたLimited Single『thirdShoes.』収録曲を披露してからの怒涛の「雨編」の初出しは衝撃的で、金縛りに遭ったような状態で立ち尽くしていました。その中でもトップバッターを務めたこの楽曲は、これからどのような世界観が表現されるかをそのまま物語っており、さらに最も重要となるDメロおよび落ちサビを推しである小宵めみさんが歌い上げたことによる衝撃と感動で頭が完全に機能停止していました。もともと彼女の歌唱力は突出していましたが、この楽曲を武器にしたことによって更なる歌唱表現・感情表現の幅を広げており、日々楽しくライブを見て狂うことができています。tipToe.に興味が出た方、ぜひ気軽に声をかけてください。
5. 微熱煙 - 長瀬有花
作詞・作曲・編曲:瀬名航
バーチャルアーティスト『長瀬有花』のシングル『微熱煙/みずいろのきみ』収録曲。6月上演のコンセプトライブ"SEEK"において初披露された楽曲です。この楽曲は東京の孤独と雑踏、そしてその中で歩み方を美しく表現しています。1番はアコースティックギターを中心とした、"隙間"の多いアレンジとなっていますが、そこから2番にかけて、メロは変えずにアレンジのみでドラマティックさを演出し、2サビ後の激情的なギターソロに繋げています。そこからDメロでふっと音が消え視界が開け、人と人との繋がりを感じさせるシンガロング。ただしここで終わらず、最後はAメロで、再び静かに、独りで終わる、という1曲だけで起承転結が完璧に表現されており、初めて聴いたときは衝撃のあまり画面の前で固まっていました。
大げさな街の明かりが
生き急ぐ夜を浮かべる
さざめく雑踏の中で
ろうそくは灯る
↑この歌い出しはヤバいでしょ……
この曲の物語性にさらに拍車をかけていたのが、初披露された"SEEK"においてこの曲は本編最後に配置されていたのですが、その1曲前に演ったのがサカナクションの『ユリイカ』だったことです。『ユリイカ』は、故郷から東京から出てきて、その閉塞感や雑踏、無機質さに対する「生き急いでいる」感覚、そしてそれに付随する苦しさや寂しさを表現しています。
いつも夕方の色
髪に馴染ませてた君を思い出した
ここは東京
空を食うようにびっしりビルが湧く街
いつ終わるかな 風が吹く度 生き急ぐ 生き急ぐ
いつ終わるかな 意味もないのに 生き急ぐ 生き急ぐ
いつ終わるかな 壁が立つ度 生き急ぐ 生き急ぐ
いつ終わるかな 意味もないのに 生き急ぐ 生き急ぐ
『微熱煙』では、東京に対して似たような表現をしながら、それでも人と人とのつながりや、光が差すまで笑い続ける・歌い続けることを歌っているという、対照的なメッセージ性を持っており、このメッセージ性が『ユリイカ』によって完全に際立たされていました。
素人がこの楽曲について語るのもいいのですが、長瀬有花のプロデューサーによる解説記事があるので、はっきり言ってこちらを読んだ方が良いです。長瀬有花さん、素晴らしいアーティストですので知らない方はぜひ聴いてみてください。
6. 出町柳パラレルユニバース - ASIAN KUNG-FU GENERATION
作詞・作曲:後藤正文 編曲:ASIAN KUNG-FU GENERATION
劇場版アニメ『四畳半タイムマシンブルース』主題歌。古き良きアジカンの香りが強く、どこか懐かしい気持ちになる楽曲です。メロは全く同じで、一部の歌詞やアレンジ、そしてアウトロの構成が異なる『柳小路パラレルユニバース』の同時リリースによって、「パラレルユニバース」を表現するというギミックや、アジカンのメンバーが『四畳半タイムマシンブルース』の登場人物になりきったMVもとても愉快です。
思った通り誰もいない
特別な恋の予感もしない
苦虫ひとつ噛み締めて
細い路地の先に君
上の歌い出しだけでも『四畳半タイムマシンブルース』をシンプルにまとめていて、『四畳半』シリーズのアジカンによるタイアップとして、最高の楽曲に仕上がっていると思います。以下の後藤正文のインタビューも必見。
7. スポットライト・ミラーランド - 望月杏奈 (CV: 夏川椎菜)
アイドルマスターミリオンライブの楽曲が12/17についにサブスク解禁され、懐古厨ばっかりやってるのも良くないと思い最初に聴いたM@STER SPARKLE2の望月杏奈のキャラソンがあまりにも刺さってしまい、急遽10選に入り込んできました。どこか耳馴染みのあるイントロのシンセリフから掴まれ、Aメロの落ち着いたメロはどこかOFFの望月杏奈を想起させます。Bメロで少しずつスイッチが入っていく中で、「ビビビッとCome on!」からの転調→サビ入りで一気に開ける感覚がめちゃくちゃ望月杏奈で最高。サビの最後の「不思議 for you」で元のキーに戻るのもどこか「不思議」な感覚を残していって、癖になる楽曲です。
何よりもすごいのが歌詞。児玉雨子さんはミリオンライブへの歌詞提供が2曲とのことですが、あまりにも望月杏奈への理解が深くてひっくり返りました。1A「マボロシウサギは誰」1B「かけた鍵開けて」「ビビビビッとCome on!」あたりの要素的な押さえ方も素晴らしいですが、ON/OFFの両面性を持つ望月杏奈と、それを見ているファン・プロデューサーの間の関係性、そしてこの両者を繋げる「スポットライト・ミラーランド」という表現があまりにも絶妙です。
ホントも嘘も 裏返しの反対
君が連れてゆくの
君を連れてゆくよ
ここは スポットライト・ミラーランド
↑ すごすぎる。
「スポットライト・ミラーランド」はファン・プロデューサーにとっては望月杏奈のONの一面を見られることや、どのような化学反応が起こるかわからない「不思議 for you」な場所ですし、望月杏奈にとってはあらゆる可能性を秘めている「無限 for me」な場所なんですよね。
どちらかでも
どちらでもないmy mind
どちらかでも
どちらでもあるから miracle
↑ 望月杏奈です。
8. はじまりの鐘が鳴り響く空 - AiRBLUE
作詞・作曲・編曲:伊藤賢
TVアニメ『CUE!』1クール目ED。アニメの出来については深く踏み込みませんが、この楽曲は本当に素晴らしいと思います。Dメロの畳みかけるような早口のメロでCUE!でメッセージをしっかり詰め込み、完全無音からの落ちサビ→大サビの転調で大トゥルーエンドという、もう"全て"を詰め込んだ楽曲です。ライブでのDメロの隊列 → 落ちサビの「その続きを見せて」でリーダーズが対角線上に立ち上がる構成や、3rdライブで大サビのところで紙吹雪が飛んだ光景など、ライブによってさらに良さが際立った楽曲だと思います。CUE!というコンテンツが亡くなったこと、本当に惜しいです。
ここからはじまる
殻の中でもがく声は
光とともに開かれてく
9. フィルムリールを回して - airattic
作詞・作曲・編曲:管梓(For Tracy Hyde/エイプリルブルー)
『tipToe.』と同じ事務所・同じプロデューサーのアイドル『airattic』のデジタルシングル収録曲。シューゲイザーテイストのギターに青春の面影を振り返る詞を乗せたエモーショナルなナンバー。tipToe.と比べるとよりバンドサウンドテイストを強くしたairatticですが、コンセプトとして「平熱」というのがあります。「平熱」というのは、興奮や激情と言った「熱さ」と、孤独や冷静と言った「寒さ」の両面性を合わせ持つ概念、という解釈ができるのですが、この楽曲は10曲程度あるairatticの楽曲の中でも、この両面性を特に体現した楽曲であると個人的には感じています。この楽曲含め、バンドが好きな人には確実にairatticは刺さると思うので、ぜひ聴いてみてください。
10. CHAINSAW BLOOD - Vaundy
作詞・作曲・編曲:Vaundy
TVアニメ『チェンソーマン』ED1。チェンソーマン1話の後に流れてきたこの楽曲で、なんでこの楽曲をずっと使わないんだと思ったくらい、すごい楽曲です。ABメロ・サビとゴリッゴリのギターやシンプルなコードと、Vaundyにしては珍しい雰囲気を出しながら、Dメロでいきなり自己主張してくるところが死ぬほど好き。ただただシンプルにカッコいいので、そんなにコメントすることがないです。ちなみに、チェンソーマンは結局3話までしか見れてない。南無。
おわりに
2022年はコロナ禍が多少落ち着いてきたことや、自分が声を出せなくてもライブを楽しめること、そして何より再度アイドルにハマってしまったことによって、今までで一番参加したライブの本数が多くなった年でした。それに伴って、アイドルを中心として色々と新しいアーティストも知れた年だったと思います。また、素晴らしい楽曲をひっさげた名アニメを複数あり、これらの要素を中心とした10選に今年はなりました。選出から漏れてしまった名曲もたくさんあり、良い1年だったように思います。来年も色々な作品を楽しみながら過ごしていきたいですね。
それでは。